SEN vol.1 -page7- モン族の柄と渦巻


SEN vol.1 page7
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 SEN vol.1 7ページ目です。

 雑誌のクイズコーナーをイメージして作成したページです。

 ぜひ、クリックして拡大し、問題にチャレンジしてみて下さい^^


 タイルのテーマは、「モン族の刺繍」です。

 刺繍って憧れます。自分は不向きだとわかっているので、もう自分で作ろうという気持ちはとうに失せました。

お店で鮮やかな刺繍やビーズの埋め込まれた刺繍雑貨を見つけると、ついつい買ってしまいます、、、東南アジアやインド系の刺繍雑貨は大好きです。


 さて、モン族の刺繍柄をミニタイルで作成しました。SENに載せているのは3種類です。

もう少しいくつか作成したのですが、写真は集合写真しかありませんでした。

前回の投稿から続く反省:作った作品は1つ1つ大事に撮影しておくこと。

刺繍柄タイルmong
すべて身近に住む動物や昆虫、植物を尊ぶ姿から生み出されたとされる模様たち

 一番多く作っていたのは「渦巻き模様」ですね。あとは、たしか、、、なんだったかな、、、改めて調べましたら、奥の列 一番左が「魚の眼」、左から5番目のが「鳥の目」でした。

 さて、あとのぐるぐるのスパイラル模様ですが、

 モン族では何の渦巻をイメージしているのでしょう?


 こたえは、「かたつむりの殻」 だそうです。

 

 そして、これは「家族の成長、繁栄」を表しています。ぐるぐる〜とした感じが巡るDNAを連想させます。名曲「糸」を思い出すのは私だけでしょうか。


 モン族だけのものかと思っていたら、世界の刺繍柄を検索していると、驚くほどこの「渦巻」模様は多く発見できました。世界中のたくさんの民族が「うずまき」に対し、何かしらの興味と信仰心を感じ、無意識で人間という生物はこの模様に愛着を持つ、ということはとても興味深く思いました。

 日本にも「渦巻」模様は古くからあります。和柄に「海の渦潮」や「水の流れ」を表したのはもちろん、「雲」も渦巻になったりしています。どれも「繁栄」や「未来への希望」的な明るい意味合いです。「唐草」模様も繁栄を意味するぐるぐるおしゃれな模様ですが、ただ、アラベスク模様となると、オシャレ感が一層に増します。葉っぱやお花が付くとぐっと雰囲気も変わり、素朴なイメージからこなれ感が出ます。

 「ぐるぐる」のみで考えてみましょう。

 おもいきり「ぐるぐるのみ」のデザインで思い出すのは、中国の「雷」をイメージした「雷文」。とても古い文様です。よく見かけるのは、ラーメン屋の器のフチ周りに描かれている、カクカクっとした渦巻の赤模様、あれです。雷模様は「美味の象徴」ではなく、「吉祥の象徴」です。

 あと、占い好きな方なら見かけたこともある古代ケルトの渦巻き模様「トリスケル」。渦巻3つが連なっています。ケルト系カードの裏面とか、あれです。「太陽」エネルギーをイメージしているとかで、たしかに、渦巻の中心からすごいパワーが出てきそうです。

 私は、若い頃にイギリスに5年ほど滞在していたのですが、やっぱり太陽光って少ないんですよね。夏の明るい日差しとかって本当に貴重で、夏場に快晴になったもんならみんなパブに出てきてビール飲んで楽しむというか、、やはり、太陽は人間の心に与えるハッピーパワーがすごいと思います。とくに、北欧なんて日差しが年間を通して少なめの場所は、私達日本人が思う「太陽エネルギー」よりすごい力で崇拝されていたのでは?と思ってしまいます。

 日本は、天照大神という有名な女神がいます。卑弥呼という有名な女王もおり、どちらも太陽がシンボルです。ですが、女性性というと「月」がシンボリックになりやすいです。月経とか女性の体に共通する周期があるためだそうです。月はその美しさに比例して、「不安」や「うつろいやすさ」「疑心」的な暗い意味合いが多く、「太陽」はその逆です。西洋のアポロン神のような「正義」「成功」「支配」的な男性イメージがあります。


 日本では太陽崇拝より、月への崇拝が強く見られると思います。。アートや文学にも、太陽的な明るいものより、月のようにダークな世界から生まれるもののほうが好きな傾向も見られます。月の呼び名も恐ろしく多いです。満ち欠けするすべての形に名前があり、朧月、銀鉤、などとってもかっこいい名前をいっぱい貰えています。太陽は、趣のあるような呼び名は、あるかな、、おてんとさま?、、可愛いですね。。日輪?、まあまあかっこいいけど月が持つクールな呼称にはちょと負ける。。。

 太陽神より、月の女神に憧れる人も多く、例えば、アクセサリーも太陽の「ゴールド」より月の「シルバー」好きが多いのも日本だと思います。日焼けした肌より色白の透き通った肌、お花見だって昼間より、どちらかというと月見酒の夜桜好き。変な喩えを更に出すと、ペット界では「犬」より「猫」へ好みが向かっています。犬はどちらかというと陽気で「太陽」的。猫は、どちらかというとみな陰気で「月」っぽいです。いまや、空前の「猫ブーム」を口実に「月」よりに趣味嗜好はどんどん向かっています。(すべて私の偏見ですのでご了承下さい。)

 こうなってくると、もしかしたら日本人には、「月」に対する「不安」や「うつろいやすさ」「疑心」に対し、他国よりも受け入れる懐が広いような??なんて思えてきました。

 規則正しくしてすべてハッキリされるより、じつはちょっと歪んでいたり、不確かだったりぼんやりする方に良しとするようなところ、皆に見せる明るい顔と、誰にもみせない暗い裏の顔を持つ二面性、、そういうのが日本人なのかも、だから、欧米のように「月」を悪者にしたり忌み嫌うのが苦手、だって月は日本人っぽい。。。

 と、別の話題にどんどんそれて行きそうですので、太陽と月の話はここまでにして、

渦巻の話に戻ります汗

 渦巻について、今回色々と書きましたが、そもそもこれら「紋様」が生まれた「紋様起源説」にはいろいろな意見があります。「後付(あとづけ)」の話です。例えば、こうした渦巻も、円を描いている途中に偶然はみ出して、そのままくる〜と描いたら、なかなか面白い〜キレイや〜ん^^で気に入られ、土器や建築物らに使われた、のちにこれって雷っぽいね〜なんて評判になり、それなら縁起もいいしそうしよっか〜なんて言ってたら、今度はスピ好きが集まって、これは生命のシンボルだ!内に向かう死と外に向かう生のスパイラル!なんてことで、もう陰陽思想も繋がって、おいおい、スパイラルってすげーな!と盛り上がりをみせてきて、いつしか模様の名前も意味も ものすごい後付と尾ひれがぞくぞくと付いてできた、、という流れ。 

 ものが生まれるってそういう事なんでしょうけど。。後付って聞くと、不思議と残念な気持ちになりますね。

 ただ、古代の人って、今の私達よりものすごい研ぎ澄まされた感性があったのではないかなと思います。神や生命、自然のチカラを信じるすごいなにかが、、

 後付だと言われれば、そのとおりで。

 その模様が今でも私達の感性に訴えかける何かがあるように思うのもまた事実。

 

 古代のように、装飾のみを考えて作られたものと、

また現在、それら模様にはすでに何かしら意味を与えられ、それらの思いを込めて作られたもの、

どちらも私は好きです。

 美術館で見る古代の遺品も、デパートで見る商品も、手作りマーケットで見る作品も。

 

 さて、今回は7ページ目でした。

 次回8ページは、この渦巻にちょっと似ています、「曼荼羅(マンダラ)模様」の世界です。


 chihiro


2021/07/21 追記

この投稿して次の日、まさかモン族の刺繍に偶然出会うことが出来ました。

阪急うめだ本店での、アジアフェア2021にて、雑貨コーナーに置かれていました。なんだか、運命?を感じてしまい、また色合いもとても素敵な物で、ついつい購入してしまいました。。。あぁ、、散財の日々


 

モン族 刺繍
ぐるぐる〜〜 カード入れなんだ、、

かたつむりのぐるぐるです^^あー幸せになれそう